カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

宮部みゆき「悲嘆の門」

宮部みゆきの「悲嘆の門」を読んでみた。
かなり面白いです。

あまりにも悲しいプロローグから始まる上下巻。
電気すら止められた老朽アパートの六畳一間で、母子家庭の母親は今まさに亡くなろうとしている。
まだ幼くて、母親に迫る死も理解できない女の子は、アパートの窓から翼を持った黒い怪物の姿を目撃する。
そして本編。
主人公の三島はちょっと正義感の強い大学生。
たまたま高校の先輩に誘われて始めたバイトは“サイバー・パトロール”。
ネットを巡回して様々な書き込みから犯罪を見つけ出すのがバイト内容だ。
もう一人、警察官を退官した都築。
都築は暇を持て余し、町内会長の奇妙な相談に首を突っ込むことに。
町内会長曰く近所の老人が、とある廃ビルの屋上のガーゴイルが動くと。
そして連続殺人事件。
年齢も立場も違う三島と都築が邂逅し、さらに2人はある異形の物と出会う。

ミステリーかと思って読み進むと、途中からダークファンタジーになるのでちょっと戸惑う。
ややミステリーとしては強引なんだけど、ダークファンタジーとして読むとたいへん面白い。
人が人を裁くと云うことはどう云うことなのか・・・という事を描いている点では他の宮部作品、
たとえば「ソロモンの偽証」とかにも通じるものがあるかもしれない。
でも、直接的には「英雄の書」の続編・・・というよりは姉妹編と云うんでしょうかね。
ある共通の世界に通じている訳です。
「英雄の書」を読んでいなくても十分楽しめますが、「英雄の書」を読んでおくとより楽しめるかな。
今後この世界観で書き続けて、スティーヴン・キングのダークタワーシリーズのようになるのか楽しみ。


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畠中恵「なりたい」

畠中恵の「なりたい」を読んでみた。
しゃばけシリーズの14巻。
メンドクサイのでしゃばけシリーズの解説は割愛。
「なりたい」はタイトルの通り、若だんなが来世で何になりたいのかがテーマ。
相変わらず寝込んでばかりの若だんなの健康祈願に
寺社にお参りするのではなく、神様をお招きしちゃおうと。
招きに応じて若だんなの座敷に集うお馴染みの神々なんですが、
しかし神と云うのは祟りもする物でして。
来世での事を思い悩む若だんなに対して、来世で何になりたいのか、その望みをかなえてやろうと。
ただし、納得のいかない望みであれば、災厄が降りかかるであろうと。
プロローグとエピローグでは神々と若だんなのやり取りが描かれ、
本編は、それぞれ何かになりたい者たちの短編と云う構成。
相変わらず面白かったっす。

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高野和明「幽霊人命救助隊」

高野和明の「幽霊人命救助隊」を読んでみた。
高野和明を読むのは初めてなんだけど、友人に薦められて読んでみた次第。

主人公の裕一は、気が付くと断崖絶壁をよじ登っていた。
東大を目指して浪人していた裕一が、なぜロッククライミングをしているのか。
一体いつから登り続けているのか裕一にも判らないが、
何とか頂上にたどり着くと、何故かそこには3人の先客が。
3人は「ここは天国だ」と云うが、にわかには信じられない裕一。
そこへ何故かスカイダイビングで着地した白髪の老人が「私は、神だ」とのたまう。
神さまいわく、ここは地上と天国の中間点であり、馬鹿な死に方をしたために4人は天国へ行けないのだ。
神が授けた命を、粗末に(つまり自殺)した4人に、償いをしろと神さまは云う。
地上に降りて、7週間で100人の自殺志願者を救うのがその償い。
失敗すれば、永遠に天国へ行けず、中間点でボーっと無為に過ごす羽目になる。
成功すれば、晴れて天国行き決定。
地上へ下りた4人組の悪戦苦闘が始まる。

ちょっとラノベっぽい感じの、いわゆる“イイハナシ”っす。
まあ、あまり深いことは考えずに素直に読むと結構面白い。
主人公の裕一が、人命救助(他人の自殺を思いとどまらせる)を続けるうちに
いろいろと命とか人生とかについて学んでいく訳ですよ。
自分が学生の頃に読んだら、たぶん途中で読むの止めてたなぁ・・・きっと。
最近歳取ったせいか、この手の良い話も読めるようになった気がする(笑)
成長なのか老化なのか疑問ではあるけれども。
あ、でも落語の「唐茄子屋政談」とか昔から好きだな、そう云えば。

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畠中恵「えどさがし」

畠中恵の「えどさがし」を読んでみた。
しゃばけ」シリーズの外伝の短編集。
若だんなと出会う前の(と云うか若旦那と出会ういきさつ)佐助こと犬神の話。
明治になって20年以上たった世での仁吉の話。
この二つがメインですかね。
その間には本編のしゃばけシリーズと同時代の話で、普段はわき役の登場人物がメインになった話で、
若旦那はいずれも直接は出てこない。
面白かったんですけどね、こういうのを読むとシリーズも終わりが近いのかなぁ・・・と
ファンとしては、やや複雑な気持ち。

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髙村薫「四人組がいた。」

髙村薫の「四人組がいた。」を読んでみた。

髙村薫とは思えないファンタジーと云うか、ブラックユーモアな1冊。
とあるド田舎の山の中、旧バス道沿いの郵便局兼集会所には
毎日毎日、日がな一日4人組がたむろしている。
元村長、元助役、郵便局長、紅一点キクエ小母さんの四人だ。
出がらしのお茶をすすり、干しイモやらカボチャの煮つけやらを食べながら、
なんぞ面白いことはないかと、手ぐすねを引いて待ち受けている。
なにしろ暇を持て余しているし、一癖も二癖もある老人たちで
この四人組に捕まると・・・・。

真面目でお固いイメージの強い髙村薫ですが、こう云うのも書くんだね。
一種の文明批評、文明批判でもあると思うんだけど、そんなに深みがある訳でもないし、
あまりカタイことは云わずに、素直に面白がるのが吉。
その方が四人組にも笑われないで済むだろう。

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