カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

京極夏彦「虚実妖怪百物語 序」

京極夏彦の「虚実妖怪百物語 序」を読んでみた。
“虚実”は“うそまこと”と読ませる。

水木しげる、荒俣宏、平山夢明、作者である京極夏彦自身などなど、実名で実在の人物が登場。
更に、朧車とか一つ目小僧とかの妖怪も登場。
殺人事件なんかも起きたりして、2巻目(全3巻みたいです)以降では、日本全体が危機に陥るらしいんですけど。
とりあえず、1巻目の「序」だけ読んで挫折しました。

雑誌「怪」に連載されたものでして、「怪」の読者には楽屋落ち的にも面白いのかな。
正直僕はあまり・・・って感じでした。
京極夏彦ですからね~、面白いっちゃぁ面白いんですけど、なんかどうも僕には合わなかったな。
マスコミ批評的な部分には多いに肯く個所もあったけれど。

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京極夏彦「ヒトでなし」

京極夏彦の「ヒトでなし」を読んでみた。

コレはですね~、なんと云うか・・・まっとうな人は出てきませんね~。
一人も出てこない。
主人公は娘を事故(たぶん)で亡くし、妻に捨てられ、
会社は馘首になり、「ヒトでなし」と云われた尾田。
そして何もかもを捨て、社会をも捨てて「ヒトでなし」になった。
あるいは「ヒトでなし」である事に気が付いたのか。
街を彷徨ううち、たまたま出会ったのは自殺しようとする女。
莫大な遺産を相続したばかりに、金の亡者たちに悩まされ自殺しようとするまでに追い込まれた塚本。
高校時代の友人で、いっときは事業で成功し羽振りが良かったものの
今では借金取りに追われ、自宅に籠城するだけの荻野。
荻野の借金を取り立てに来た兄貴分を、ふとした弾みで刺殺してしまったチンピラ少年鍋谷。
とんでもない4人が辿り着いたのは、荻野の祖父が住職をつとめる怪しい寺。
コレがまたとんでもない破戒僧で。

何しろ出てくる人物たちがどいつもこいつも、世のつまはじき者たち。
寺にはリストカットを繰り返す少女や、連続殺人犯だった修行僧がいるし、
もう何と云うかとんでもない場所なんですよ。
酷い話なんだよホント。でも読んでるとメチャメチャ興しろいんだな。
なんか暗い話になりそうじゃないですか。
でも、尾田の怖ろしいまでのふっきれた感じが、一種爽快でして
う~ん何と云うか平山夢明的と云うか、カミユ的と云うか・・・。


「金剛界の章」とあるから、きっと「胎蔵界の章」も書くんだろうなとは思うんですけど
はたして2冊で終わる話なんだろうか?

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京極夏彦「虚言少年」

京極夏彦の「虚言少年」を読んでみた。

「虚言少年」と云っても、別に狼少年的な嘘つきと云う訳ではない。
やや達観しすぎてしまった感のあるごく普通の小学6年生が主人公。
いつとは明言されないけれども、僕よりも上の世代、たぶん京極自身(60年代前半生まれ)と同世代なのかな
それくらいの世代の小学生。
主人公は自分は特に捻くれている訳だはないと云う。
でも青春なんてものは無いし、少年時代を美化する事にも反対だ。
そんな主人公と友人たちは、ひたすら馬鹿を楽しむ。
「青春とは馬鹿な時代なのだ。そして、馬鹿は治らないのだ。そうなら、ずっと青春でいいのだ」
学校では猫を被り(と云っても単純にその他大勢を決め込むだけだ)
可もなく不可もなくな人生を楽しむ為に、馬鹿の収集に勤しむ。
そんなある意味イカした馬鹿が主人公の少年。
そして6年生の1年間、どうでもいいようなことで小理屈を頭の中で抱えながら、
爆笑して過ごそうと虎視眈々と過ごす。
いや読んでる方も爆笑ですよコレは。
良いなぁこういうヒネクレ具合。
ある意味、太宰の人間失格にも通じる(どこがだ!)主人公の懊悩(笑)
京極夏彦は上手いなぁ・・・。

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京極夏彦「書楼弔堂 破曉」

京極夏彦の「書楼弔堂 破曉」を読んでみた。

タイトルは「しょろうとむらいどう はぎょう」って読む訳ですが
書楼という言葉は浅学にして聞いたことがないが、物語の舞台である本屋の建物が
「三階建ての、燈台みたいな変梃な建物」なので、多分作者の造語であろうか。
しかし本屋の名前が「弔堂」とは。

三階建ての本屋には整然とそして所狭しと本が並ぶ。
「役者絵芝居絵、春画に瓦版、雑誌も新聞も」ある。
日本橋の丸善よりも敷地は遥かに狭いが、
本の数は弔堂の方が多いかもしれないと語り手である高遠は思う。
高遠は旗本の息子。
元服前に御一新を迎え、武士との自覚も持たないまま明治の世になり、
でもそこそこ大身の旗本だったんでしょう、母と妹、妻と幼い娘を屋敷に残し
自分は郊外に隠棲して、ぶらぶらと本ばかり読んで過ごしている。
そんな彼がふとしたきっかけで知ったのが書楼弔堂。
弔堂店主曰く、人はたった一冊の本を求めて数多の本を読むのだ。
高遠はなんとはなしに弔堂に通ううち、その一冊を求める様々な客と邂逅する。
京極堂シリーズと相通じるものがあって、ひねりも効いていてなかなか面白い。

しかし、京極堂シリーズの新刊はいつ出るんだ!?

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京極夏彦「鬼談」

京極夏彦の「鬼談」を読んでみた。
9編の鬼の物語が収められた短編集。
もちろんわかり易く「鬼」が登場する訳ではない。
9話全てが、趣向を変えてそれぞれの鬼を描く見事さは京極ならではと云えるだろう。
でも個人的には、作品の出来にややバラつきがあるように感じられた。
出来が特にいいと感じたのが「鬼縁」。
現代が舞台の、生まれたばかりの弟のいる女の子が主人公のパートと、
江戸時代、藩の剣術指南役の嫡子として生まれながら右腕を父に斬り落とされた少年のパートが
交互に語られて、ストーリー的に絡んでくる訳では無いんだけれども、
最後まで読むと「あぁ」と思わされる。見事な短編。

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