カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

町田康講演会

11月4日は中央大学の白門祭へ。
お目当ては焼きそば二郎!じゃなくて
町田康の講演会。
主催は中央大学学術連盟 文学会さんでして、事前にサイン会の申し込みも済ませたワタクシであります。

町田康は1962年生まれ。
1981年にアルバム「メシ喰うな!」でバンド“INU”のヴォーカルとしてメジャーデビュー。
当時は町田町蔵名義。なので我が家では未だに「町蔵」と呼んでますね。
1992年に詩集「供花くうげ」、93年に詩集「壊色えじき」を出版。
小説家としては1996年に「くっすん大黒」(ドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞)でデビュー。
2000年「きれぎれ」で芥川賞。etc.
饒舌かつ土着的かつユーモアに満ちた特異な文体と、悪夢的かつナンセンスかつ爆笑なストーリーは
物悲しくもあり、破滅的であり、最高のポストパンクなグレートな作家なんである。
まあ以前から愛聴かつ愛読している方なのである。
INUはこんな感じのバンド。
「ダムダム弾」

画像がアルバムジャケットですな。町蔵良い目をしてる。19歳か・・・。
「おっさんとおばはん」

カッチョエエのぉ!
まあINU以降も現在に至るまでパンクスとして活動中。
よく元パンクロッカーとか書かれるんだけど、失礼だから注意するように!
でまぁ、今回「読むことと書くことの関係」と云う講演がを聴いてきた訳です。
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パンクの「歌詞」として初めて言葉を綴った時から、現在の小説に至るまで・・・・って、
講演会の内容は書くのが大変なので割愛。聴きに行った人の特権だし。
根本敬の話題が出たのが個人的には印象深いが、
あの場に居た人のうち、いったい何人が根本敬を知っているだろうか(笑)
終了後、事前申し込みしておいたサイン会にて頂きました。
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イカしたネクタイしてたなぁ・・・。


さて野猿二郎に晩飯食いに行こうっと。

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万城目学「悟浄出立」

万城目学の「悟浄出立」を読んでみた。

万城目学、化けたな!と云うのが正直な感想。
もともと僕の中では、外れなく面白い小説を書く若手作家と評価していたんだけど、
ここまで成長したか(上から目線だなぁ)と、
「士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」との思いに駆られる訳です。

5編が収められた短編集なんですが
悟浄出立
趙雲西航
虞姫寂静
法家孤憤
父司馬遷
と、すべて中国の古典から材を取っている。
「文芸ブルータス」で、たまたま「悟浄出立」を目にして、おおこりゃ面白そうだと思ったんですが、
多分沙悟浄を主人公にした長編の内の一部なんだろうと、その時は思いまして。
なのでワザと読まないでいたんですよね、長編が完結してから読もうかと。
単行本になって手に取ってみたら、ああ・・・独立した短編だったんだと(笑)
閑話休題
中島敦の「悟浄出世」と「悟浄歎異」でも悩める人物だった悟浄ですが、
今回も悩んでます。
ひたすら行動する人である悟空。文句を言う人八戒。そして傍観者でしかない悟浄。
傍観者である立場から抜け出せるのか・・・。
ちなみに三蔵法師の人物造形については、同じ中国の古典である三国志の劉備元徳、水滸伝の宋江公明と並んで
一見無能に見えるが、器の大きさから首領として担がれる人物の代表(しかも実在の人物でありながら、
一般的には小説の登場人物としてしか知られていないという共通点もあり)としてですね、
個人的には一家言(生意気だなぁ)あるんですが、まあそれはさて置き。
なにしろ大変興しろい。
趙雲も三国志ではやや影が薄いが、今回は主人公。
虞姫とは項羽の寵姫であった虞美人のこと。
司馬遼太郎の「項羽と劉邦」なんかを読んでも虞美人なんか気にしたこともなかった。
「法家孤憤」の法家ってご存知ですか?韓非子とか昔読んだなぁ。でも、この短編での主人公は秦に仕える
下級官吏の京科(けいか)。彼と発音だけは同姓同名の荊軻(けいか)との係わりを描く作品。
史記の刺客列伝にて描かれる、始皇帝を暗殺しようとした荊軻ですが、燕を旅立つ際に詠んだ
「風蕭々として易水寒し 壮士ひとたび去りて復た還らず」も心に残る。
荊軻の列伝は史記の中でもお気に入りの話だ。
「父司馬遷」はその史記の作者である司馬遷が、宮刑(腐刑とも云う)を受けた後の話。
司馬遷の娘からの視点で描かれるが、こちらにも史記の刺客列伝の聶政の話に
同じく刺客列伝の豫譲の「士は己を知る者のために死す」をくっ付けてますね。
どちらも好きな話・・・と云うか刺客列伝自体が好きなんだな僕は。

大変ですね面白い本でした。おススメです。

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島田雅彦「ニッチを探して」

島田雅彦の「ニッチを探して」を読んでみた。
島田雅彦の作品を読むのは随分と久しぶり。

銀行の副支店長の藤原道長は、ある日家族にも何も告げずに失踪する。
もちろん計画的な失踪である。
上司である支店長と金融ブローカーが手を組んで、企業買収のために
不正な融資をすることに憤り、慈善的な融資を勝手に行い姿を消した道長。
高級ホテルに泊まったり、寿司屋で贅沢な食事をとったりと、
“離脱”の祝いに手持ちの資金を費やした後は、何というか準ホームレス的な生活に身を投じようとする。
果たして道長の真意は何なのか。

文章が巧く、軽く読み進められるのでいつの間にか読み終わってしまったが、
あまり読後感は良くない。
主人公道長の中途半端な“離脱”行為にリアリティも好感も感じられなかった。
サスペンスというにはお粗末な内容であるし、現代の義賊という感じでも無し、
随分と主人公に都合よく展開して、まぁある意味ファンタジーと云えるかも。
ちょっとガッカリ。
「現代人のニッチ」探しというだけで、その他の道具立てに必要性もリアリティも感じられなかった。
それでも最後まで読ませるのは島田雅彦の腕前なのだろう。

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大岡昇平「野火」

大岡昇平の「野火」を読んでみた。
実は本作を読むのは二度目。小学生の時に読んだ記憶がある。


応召しフィリッピンに送られた田村一等兵は、レイテ島に上陸して間もなく喀血し
中隊から放り出される。
野戦病院に入るも、持参した食料が尽きると、やはり放り出される。
「役に立たねえ兵隊を、飼っとく余裕はねえ」
「どうでも入れてくんなかったら―――死ぬんだよ。手榴弾は無駄に受領してるんじゃねえぞ。
それが今じゃお前のたった一つの御奉公だ」
居場所を無くした田村は、同じく捨てられた傷病兵に加わるが
砲撃に追われ、レイテの山中を一人彷徨する。
教会の十字架に惹かれた田村は、危険を顧みずに村に向うが、村は略奪され無人であった。
しかし、偶然にも戻ってきた村人に見つかってしまい射殺してしまう。
初めての殺人に苦悩する村田は、やがて尻の肉をえぐられた日本兵の死体を目にする。
やがて野戦病院で出会った日本兵と再会し、「猿の干し肉」を分けてもらうが・・・・。
「猿の干し肉」って?猿なんかちっとも見かけないのに・・・・。

重い。重いよこの小説は。でも一度は読むべきだな。

人肉嗜食を扱った作品といえば本作の他にも武田泰淳の「ひかりごけ」が有名だが、
残念ながら私は映画を観ただけで原作は読んでいない。

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田中慎弥「図書準備室」

田中慎弥の「図書準備室」を読んでみた。
収録作は表題作「図書準備室」と「冷たい水の羊」

「図書準備室」は30過ぎた引きこもりの主人公が、長々とダラダラと云い訳を喋り続ける。
このダラダラ感と舌足らずな饒舌さは文学的に云って作品に不可欠な要素なんだと思う。
なんだけど、逆にその辺以外は真新しさも感じられず。
出だしは期待させるものの、後半に至って尻つぼみ感が強い。
好意的に考えるとその尻つぼみ感も作者の狙いと思えるが、笑えるほどのものではなく、
少なくとも自分にとってはやはりガッカリ感が強い。
表題作でガッカリしたので「冷たい水の羊」はパラパラと目を走らせた程度。なので感想無し。

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