カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

「小説BLAME! 大地の記憶」冲方丁

「小説BLAME! 大地の記憶」冲方丁を読んでみた。

弐瓶勉の漫画「BLAME!」の小説版ですが、
続編とか外伝とかでは無くて、
漫画で描かれたブラム!(メンドクサイので以下カタカナ表記)を冲方丁が描き直したって感じですかね。
なのでストーリーは割愛。
個人的には・・・面白くなかった(笑)
最後までちゃんと読めたんですけど、読まなくても良かったなと。
冲方丁は「マルドゥック・スクランブル」を読んで、
こりゃ僕とは合わないなと、まあもう手に取る事も無かろうと思ってたんですけど、
ブラム!だし・・・と、読んではみたものの、やはり相性が合わないみたいです。

スポンサーサイト

PageTop

柞刈湯葉「横浜駅SF」

柞刈湯葉の「横浜駅SF」を読んでみた。
“柞刈湯葉”は“いすかりゆば”と読ませるらしいが、イスカリオテのユダかね・・・。

横浜駅(現在のだけど)は開業以来、一度も完成した事が無い。
いつも必ず工事中である。
そうなんだ・・・。云われてみれば、いつ行っても工事してる気がする。

長期間続いた冬戦争の時代、日本は首都中枢型からJR統合知性体を用いた
分散型の政治体制を戦略的に選択。
やがて化石燃料の枯渇により冬戦争は終結。世界中で人類は壊滅状態になっていた。
黄昏を迎えた人類に対して、暴走した横浜駅は自己増殖を始め、
数百年が経ってみれば、本州の99%が横浜駅に浸食されてしまった。
JR北日本が統治する北海道と、おなじくJR福岡が統治する九州は
横浜駅に対して徹底抗戦をしているものの、四国は既に陥落してカオス状態に。
本州=横浜駅では、脳に埋め込まれたSuikaを持つものはエキナカで、
横浜駅を追われた非Suikaな人々は駅を追われて生活していた。
偶然「18きっぷ」を手に入れた非Suika民のヒロトは、5日間の期限付きでエキナカに旅立つことに。
目指すのはとある人物に教えられた42番出口。
何処にあるのか、何があるのかもわからない42番出口を探すヒロト。
一方、JR福岡に勤務するトシルは武器を盗み出し、
横浜駅の浸食により無政府状態の四国に渡る。
二人を主人公として話は進む。

コレはかなり面白かった。
読みながら椎名誠の「アド・バード」みたいだな・・・と思って読んでたんですけど、
作者自身があとがきで「アド・バード」と弐瓶勉の「BLAME!」の影響を受けたと書いている。
でもですね、単なるパロディとか二番煎じでは無くて、オリジナリティのある名作だと思いましたよ。
各章のタイトルも有名作品のパロディになってたりしてユーモアもあるんですけど、
ちょっとハードボイルドタッチな感じもしたりして、たいへん面白かった訳です。

そんでですね、僕としては「42番出口」について書いておきたい。
“42”と聞いて皆さん気になりませんか!
そうですダグラス・アダムズの「銀河ヒッチハイクガイド」に出てくる“42”です!
「全時代および全宇宙で2番目に凄いコンピューター」である「ディープ・ソート」が
750万年かけて計算した「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」が“42”です。
しかし、”42”と云う答えは解ったのに、そもそもの「究極の疑問」がなんなのか?
それを計算するために「全時代および全宇宙で1番凄いコンピューター」が作られたのですが、
それが一見惑星のように見える地球なんですね~。
って読んだ事のない人には全く意味不明だと思うんですが、
バカSFの金字塔である「銀河ヒッチハイクガイド」を読んで欲しいなと。
もちろん「横浜駅SF」も読んで欲しいなと思う訳です。
ちなみにあとがきには“42”について何も言及がなかったので、僕の勝手な思い違いかも知れませんが
SFを書く人なら「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」が“42”であることを
知っていて選んだ数字なんじゃないかなと思う訳です。以上、長い蛇足でした。

蛇足その2
「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」でググると・・・

PageTop

高野和明「ジェノサイド」

高野和明の「ジェノサイド」を読んでみた。
“ジェノサイド”って1944年に作られた造語だって知ってました?
僕は知らなかった。
民族や集団を絶滅させる行為を指すんだと僕は理解しているなんだけど、
本作でジェノサイドされようとしているのは?

主な舞台は日本・アフリカ・アメリカの3つ。
まずはアフリカ。
イエーガーは元グリンベレーの隊員だったが、一人息子のジャスティンが2歳で難病を発症。
莫大な治療費を稼ぐために軍を辞め、民間軍事会社にリクルートした。
イラクでの任務を終え、現在では9歳になりポルトガルで治療を受ける息子のもとへ向かうはずだったが
上司から高報酬の任務を持ちかけられる。
向かったのは南アフリカ。
4名でチームを組み、コンゴに潜入。
ピグミー族のある集団を殲滅し、ピグミーに同行するアメリカ人の人類学者も殺し、
さらに「見たことも無い生き物に遭遇したら、真っ先に殺せ」と指示される。
命令にたじろぐイエーガー達だったが、致死率100%の新種のウイルスに感染した集団を抹殺することで
人類全体を救うためだと説明を受ける。
続いて日本。
大学院で創薬化学を学ぶ小林研人は、父の葬儀を終えて研究室に復帰すると
亡くなったばかりの父親から自動送信メールが届いていた。
端折って云うと「私が戻れなかった場合はおまえが研究を引き継げ」と、
偽名のキャッシュカードと2台のノートパソコン、そして研究設備の(ある程度だけど)整った
コレまた偽名で借りていると思われるアパートの一室が用意されていた。
ある難病の特効薬を期日までに創れ。そして誰にも云うな、一人で行え。
身の危険を感じたら投げ出して構わない・・・。
いつか一人のアメリカ人が訪ねてくる。そのアメリカ人に薬を渡せ・・・って、マジで?
続いてアメリカ。
幼少時より知能指数がきわめて高かったアーサー。
長じて金銭欲も権力欲もないアーサーは、並はずれて高い知識欲を満たすべく
様々な講義に顔を出し、“観察者”になった。
研究所を渡り歩き、若くしてたどり着いた就職先はワシントンDCに本拠を構えるとあるシンクタンク。
その最大の顧客はCIAと国防総省。
上級分析官として政府の汚さの観察にも飽きたアーサーは転職を考えていたが、
上司から「ハインズマン・レポート」なるものの分析を命じられる。
このハインズマン・レポートが、アメリカ政府を震撼させ、3つの舞台を結びつけることになる。

ここまでが準備段階なんですけどね、最後まで面白く読めましたね~。
この手の世界を股に掛ける軍事スリラー的なのを日本人作家が書くと、
たいがい背伸びしちゃってる感が気になるもんだけど、
本作はそう云う感じはなく、しっかりと骨太な出来。
若干都合が良すぎる展開ではあるものの、たいへん面白い。おススメ。

PageTop

宮内悠介「ヨハネスベルグの天使たち」

宮内悠介の「ヨハネスベルグの天使たち」を読んでみた。

著者の第2短編集と云うことだが、日本製の女性型歌唱ロボット「DX9」が毎回登場する連作短編になっていて、
DX9は一種の狂言回しとなっている。
全5編で、舞台はそれぞれヨハネスベルグ、ニューヨーク、ジャララバード(アフガニスタン)、ハドラマウト(イエメン)、
そして北東京。
ちょっとメンドクサイのであらすじは省きますが、目の付けどころはとても良いと思う。
でもそれを活かしきれていないと云う感じが付きまとう。
面白いんだけど、もうちょっとと云うか背伸びしてる感と云うか、どうも読んでいてすっきりしないんだなぁ。
因みに第1短編集の「盤上の夜」直木賞の候補になり、日本SF大賞受賞。
本作もやはり直木賞候補で、日本SF大賞特別賞受賞。
僕は賞をとったとかはどうでもいいんだけれど、SF業界の人からは注目されていることは間違いない。
長編「エクソダス症候群」も刊行されたみたいなので、そちらも読んでみたいと思う。

PageTop

押井守「ガルム・ウォーズ 白銀の審問艦」

押井守の「ガルム・ウォーズ 白銀の審問艦」を読んでみた。
説明するまでもなく、押井守と云ったら映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」「イノセンス」などで有名な映画監督。
「ガルム・ウォーズ 白銀の審問艦」は実現しなかった映画「ガルム戦記」が元なのかな。
映画「ガルム戦記」は「ガルム・ウォーズ ザ・ラスト・ドルイド」として製作中みたいなので期待してるんだけど。

どことも知れないアンヌンという星が舞台。
アンヌンにはガルムと呼ばれる8部族が住み、戦いに明け暮れている。
ガルム達は装甲を身に纏い、男女の性差はあるが生殖能力を持たず、クローニングと記憶の転写で世代交代し
部族同士で覇権を争っていたが、現在は3部族が残るのみ。
正体不明のセルと戦うために、残った3部族はやむなく手を結んでいる。
セルは一定の周期でアンヌンに侵入してくるが、ガルムを滅ぼすために送り込まれること以外は
その意図も、どこから来るのかも一切が不明。
戦うこと以外に目的を持たないガルムたちは、死を恐れず、戦うことに疑問を持たないはずだったが、
正体も、姿形も、目的も、全く判らないセルとの戦いに、倦み疲れていた。
ある日の戦闘で、セルを導くものと思われるマラークを撃墜したガルム。
やっとその正体がつかめるやもしれぬと、マラークの墜落現場に調査隊が向かうが・・・・。

いかにも押井らしい、戦闘ものと哲学風問答の融合で興しろい。
けど、描き足りない感がハンパない。この倍ぐらいの長さがないともったいない気がする。
前半と後半で内容がガラリと変わるんですけど、どちらも中途半端な感じになってしまっているのが残念。
映画で是非。

PageTop