カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

ギルバート・アデア「閉じた本」

これは面白かったなぁ。
以前アデアの「作者の死」も紹介しましたけど、こちらの方が断然面白い。

交通事故で、失明(眼球自体を失うほどの大事故)し、容貌も変わってしまい
ほとんど世捨て人のように生きる作家のポール。
そんなポールがある日思い立って新聞に広告を出します。
曰く「失明作家、筆耕者を求む」
ポールは自分の目の代わりを務め、なおかつ自伝の執筆を手伝ってくれる筆耕者を求めたのです。
小説は、その広告に応じてジョン・ライダー君が面接にやってくるところから始まります。
なかな感じの良い青年で早速採用されます。
自分の記憶を確かめるために、ジョンに部屋の様子や、散歩の道すがらの情景を描写させるポール。
やがて執筆に取り掛かりますが、ポールの文章に口を挟みだすジョン。
それにジョンが話す内容にもポールの疑心を掻き立てる何かが感じられます。

作品全体が登場人物の(と言ってもジョンとポール以外はほとんど出てきませんが)の
会話と、ごくたまに出てくるポールの独白と思われる文のみ。
この独白(実は盲目ながらポールが書いていた日記である事が判明しますけど)がラストで効いてきます。
独特の形をした小説ですが、大変読みやすく、またサスペンスとしても上質。
だんだんとポールの不安が嵩じてくる辺りは、読んでいてもポールと一緒に不安になります。

これはお薦めですね。
難点を云えばオチがやや性急な感じがします。
いや、なにホンの小さな瑕疵にすぎませんけど。
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