カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

村上春樹「スプートニクの恋人」

村上春樹の「スプートニクの恋人」を読んでみた。
発売当時、一回だけ読んだ事があるんだけど、随分と久しぶりの二回目。
正直に云うと、初めて読んだ時の印象はあまり良くなかった。
自分は気に入った本は何回も読み返すタイプなので、
お気に入りの作家である村上春樹の作品を一回だけで投げ出すのは珍しい。
なので村上作品を読み返すにあたって、とりあえず一番手前にあったから・・・・と云う理由で
読み始めたんだけど、自分でも意外な事に今回は興しろく感じた。


タイトルのスプートニクとは旧ソ連の人工衛星のこと。
作中では、冒頭部と終結部の会話の中で出てきます。

語り手は「ぼく」。
ぼくは小学校の教師をしているが、大学時代の年下の友人すみれに恋をしている。
すみれはジャック・ケルアックに傾倒している、ややエキセントリックな女性で
小説家になるため大学を2年で中退し、作品としては完成しないものの、文章を書きまくっている。
ぼくはすみれに想いを伝えることが出来ない。すみれはすみれで恋愛には全く興味が無い。
ただ、お互いにとって唯一の友人であるだけ。
そんな中、すみれはたまたま出席した結婚式でミュウと出会い、生まれて初めて恋に落ちる。
ミュウはすみれよりも17歳も年上の女性で既婚者だが、2人は意気投合し
ミュウの元で秘書としてすみれは働き始める。
でもやはり、すみれはミュウに想いを伝えることが出来ない。
ミュウとすみれは仕事でヨーロッパを訪れるが、ギリシャの島である事件が起こる。
ギリシャの島と云えばもちろん村上春樹自身が滞在(「遠い太鼓」を参照)し、
「ノルウェイの森」を執筆していた訳だが、レスボス島があることにも留意したい。

語り手である「ぼく」の名前は出てこないが、すみれの書いた文章の中で「K」とされているのが
「ぼく」の事であろう。
カフカの「審判」も「城」も主人公は「K」である事を当然のように想起させられるが、さて。


主要な登場人物は、ぼく、すみれ、ミュウの3人だけ。
「ぼく」は村上春樹の主人公としては定番なタイプ。
「ぼく」はモテるタイプでは決して無いと自ら云いつつ、肉体関係を持つ女性には事欠かないが
本当に必要な女性とは決して結ばれない。そして友達と云えるのは1人だけ。

木に登った猫の話(あちらの世界に行く猫?)、観覧車の話(あちらの世界を覗いてしまう)、
警備員との対話(コレはコレでこちらの世界の認識の話と云うか)、
にんじんとの対話(「ぼく」が初めて本音で話している)が
本編のストーリーに重要な働きをする訳だが、あちらの世界(異界)の話は
村上作品にとっては大変重要なテーマだし、得意の井戸も出てくる。

と云う訳で、意外と興しろく読めたのが自分でも意外だったし、
なにしろ内容をほとんど覚えていなかったことに驚いた。


今まで「1Q84」と「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を敢えて避けてきたんだけど、
そろそろ読まなきゃなと。
助走のつもりで、ちょっと集中的に村上作品を読んでみようかと思っている。

11-26 001
気分を変えて今日のおやつ。
ジョエル・ロブションのパン
栗とカシスのクロワッサン、シャンティーニュ、スイートポテトのタルトが秋らしく栗を使った物。
エピは定番だね。
関連記事
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する