カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

「ホドロフスキーのDUNE」

「ホドロフスキーのDUNE」を観てみた。

“もぐらは穴を掘って、太陽を探している。時に地上へ辿り着くが、太陽を見た途端、目は光を失う。”
映画「エル・トポ」冒頭より。ちなみに“エル・トポ”とは“もぐら”のこと。

ホドロフスキーとは、映画監督でありバンド・デシネ(フランスのコミック)の原作者としても知られる
アレハンドロ・ホドロフスキーの事。
ホドロフスキーは1929年チリの生まれ。
大学で心理学と哲学を学ぶが、パントマイムにのめり込み中退。
パリでパントマイムの神様と呼ばれたマルセル・マルソーと出会ったりしたのち
メキシコでシュールレアリスムの影響を受けた劇団を創設して活動。
のちに映画を作るようになる。
彼の代表作が「エル・トポ」。

「エル・トポ」は1970年の作品だが、いわゆるカルトムーヴィーの金字塔として知らる。
アメリカでの公開時、「エル・ジン」という映画館一館での、しかも深夜のみの上映であるにもかかわらず、
アンディ・ウォーホール、ミック・ジャガー、デニス・ホッパー、ピーター・フォンダ、ジョン・レノンらが
口コミで観に集まり、特にジョン・レノンは4回も足を運び、映画の配給権を買ったりまでした。
何がそれほどまでに、一部の人々を熱狂させたのか。

わたしが「エル・トポ」を初めて見たのは高校2年生の時だった。
当時、ロック・サブカル系の雑誌だった宝島でこの映画が紹介されていて、
そんなにすごい映画ならちょっと観ておくかと、渋谷のパルコ劇場で学校帰りに観た。
観終わって、席から立ち上がれなかった。
なんなんだこの映画は?
パンフレットを買い、熟読した。
宗教的、哲学的、文学的なメタファーの数々。
たとえば、ウサギが象徴する物は何か?みつばちが指し示す物は何か?
八角形の塔は何を暗示しているのか?
異常なまでに情報の詰め込まれた作品であり、一度観ただけで十全に理解することは不可能な映画。
レンタルビデオ屋で「エル・トポ」を発見し、友人を誘って何度か観た。
73年の作品「ホーリー・マウンテン」も、その友人と一緒に観た。

やっぱりとんでもない映画だった。

はっきりいって、ノーマルな映画では無い。
でも、他の映画には無い、底なしの魔術的イメージの奔流に打ちのめされた。

90年の作品「サンタ・サングレ/聖なる血」は、封切時に(やはりパルコ劇場だったと思うが)観に行った。
前2作に比べると、だいぶ解りやすい映画になっていたけど、やっぱり凄い映画だった。
(サンタ・サングレの動画がyoutubeで見つからなかった・・・)

そんなホドロフスキー監督が「ホーリー・マウンテン」の次に、75年に企画したのが
「デューンDUNE 砂の惑星」だ。

でも、だれもこの映画を観た者はいない。
撮影まで漕ぎつけなかったからだ。

原作 フランク・ハーバート
絵コンテ・キャラクターデザイン メビウス(ジャン・ジロー)
特殊効果 ダン・オバノン
建造物デザイン H・R・ギーガー
宇宙船デザイン クリス・フォス
音楽 ピンク・フロイド 
    マグマ
出演 サルバド-ル・ダリ
    ミック・ジャガー
    オーソン・ウェルズ
錚々たるメンバーを集めながら頓挫した映画でありながら、
一部の人間には伝説の映画として語り継がれるようになった。
ホドロフスキーのイメージする映像をメビウスが絵コンテにし、フォスが宇宙船をデザインし、
ギーガーが建造物を建造する。
プロデューサーたちはこの膨大な絵コンテと、デザイン案、特殊効果の案を一冊の
それこそ広辞苑よりも分厚い本にまとめ、ハリウッドの映画会社各社に送った。
こんなスゴイ映画を企画している、後は資金があれば歴史に残る大作が出来る。
そう確信していたのだが・・・・・。
セットの建設に取り掛かる朝、プロデューサーから企画中止の連絡が入る。
この映画は、挫折した幻の大作ホドロフスキー監督の「DUNE」が
いかにして企画され、そして頓挫したのかを、参加した人々のインタヴューを中心にまとめた作品だ。

やがて、映画化権は他の者の手にわたり、デヴィッド・リンチの監督で84年に映画化された。
ホドロフスキー版砂の惑星のプロデューサーであったミシェル・セドゥーは
誇らしげに「デヴィッド・リンチの砂の惑星は一生観る気はない」と微笑んだ。
息子に観に行くべきだと説得されたホドロフスキーはリンチの映画を観て「失敗作だ!」と笑った。
私もこのドキュメンタリーを観て、(デヴィッド・リンチには悪いけど)リンチ版の「砂の惑星」は観ないと決めた。
そう思わせるくらい、ホドロフスキーのDUNEは凄かった(いや1カットたりとも撮影されていないけど)!


正直に云うと、「ホドロフスキーが好きだから、一応観とかないとな」と思って映画館に足を運んだ。
途中で寝ちゃうかもとか思っていたんだけど、気がついたら夢中になっていた。
ホドロフスキーにも、砂の惑星にも興味が無い人には、全く通じないと思うだけど(笑)
どちらかにでも興味のある人は、絶対にこの映画を観た方がイイと思います。

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