カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

ブルース・チャトウィン「黒ヶ丘の上で」

あ、明けましておめでとう御座います。
年末は活発に活動してみたんですが、年明けはすっかり寝正月なカートです。

折角休みが長いので、ヴォリュームたっぷりのブルース・チャトウィンの「黒ヶ丘の上で」を読んでみた。
作者チャトウィンは1940年生まれ、1989年に死去。
活動期間が短かったので、長編短編共に数は少ない。
本作は長編3作目にあたる。

丁度50章で描かれる本作は、ウェールズとイングランドの境界線上にある一軒の家が舞台。
〈面影ザ・ヴィジョン〉と呼ばれる家を舞台に、ほぼ100年にわたる家族の大河ドラマだ。
スコットランドと同じようにウェールズもケルト文化を色濃く残し、イングランドに対して不信感を持つ土地柄。
イングランド国教会に対しても、反感があったりする。
この辺は我々日本人には今一つ実感がわかないが、物語の重要なポイントだし、
昨年スコットランドの独立住民投票が行われたりして(結果は独立否決)、現代でも重要な事案である。
ウェールズの地で生まれ育ったエイモス・ジョーンズは、無学な農夫ではあるが、
決して怠けものでもないし愚かものでもない。
彼は牧師の娘メアリーと恋に落ち結婚する。
宣教活動をする父と共にインドで過ごし、エルサレムなども訪れたことのあるメアリーは
教養もあり、上流の人々とも交流があり(と云うか自身が上流階級の人だ)、
エイモスとは正反対の人だが、2人は結婚し〈面影〉に住まうようになる。
1880年代のウェールズは貧しく過酷な生活が当たり前。2人は力を合わせて働く。
やがて2人の間に双子ルイスとベンジャミンが生まれる。
物語は双子の成長を追っていくが、やがて二つの世界大戦があったり、
色々とあるんですが。

淡々と物語は進み、地味と云えば地味な小説。でもなんと云うか滋味にあふれた物語。
双子の住む村は片田舎だし、双子はほぼ村を出ないし、劇的な事が起こりそうでいて・・・。
味わいのある小説で、寒い冬の日にじっくり読むのに丁度いい感じでしたね。

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