カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

アーサー・ケストラー「真昼の暗黒」

これは読むのが結構きつかった。
原書は1940年の刊行とのことですが、岩波文庫で今年出した新訳版を読んでみました。
と云うか全然この作品のタイトルも、作者名も知らなかったんですが
新刊コーナーでタイトルに惹かれて手にとりました。
新訳版だからなのかどうなのか旧訳を読んだ事が無いので比較できませんが、
あまり古い作品と云う感じがしないで読めます。
文章も平易で読みやすいんですけど、それだけに内容が重く圧し掛かってきます。

ブハーリン事件と云う、スターリン独裁時代の実際に在った粛清事件を下敷きにした
フィクションなんですけど、きっついなぁ。
例えば生々しい拷問シーンとか処刑シーンがある訳では無くて
淡々と、獄中での主人公ルバショフの回想による過去の出来事と
壁を叩いての隣の独房との通信、そして旧友でもあるイワノフとの審問が描かれる。
やがて、論理的帰結による無実の罪の自白に至る、ルバショフの日記、
審問官との会話、回想、他の収監者との対話・・・。
うーん、興しろい内容でした。けっして面白くは無いんですけどね。
それでも数週間は掛かったかな読み切るのに。
それだけ、私の心に圧し掛かる物があったと云う事だと。
ある日突然逮捕されて、身に覚えも無い罪を自白するように迫られる。
しかも、自分はその党の、その国家の幹部だったのに。
過去に何度も活動のために投獄されたにもかかわらず、
一度も屈服せず(こちらは無実の罪ではないですよね、革命家としてつかまっていた訳で)
にも関わらず、自分たちが打ち立てた革命政府によって今度は無実の反革命的犯罪を
自白するように迫って来る。
なんか後半は呆然としながら読みました。
なんでこんなに苦しく感じるのか自分でもよく解らないのですが。
ちょっと間をあけて読み直してみないと・・・と感じました。
巻末の訳者あとがきや解説によると作者もこの作品も結構数奇な運命をたどったようです。
そちらにもちょっと興味をそそられました。
まあ、本当のことを言うと、これを読んでいるのが辛くて
畠中恵の「まんまこと」とかを併読していたんですけどね。
「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズとか(笑)。凄い取り合わせだけど。
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