カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

佐藤賢一「黒い悪魔」

佐藤賢一の作品は初めてです。
以前から名前は知っていたんですけどね。
直木賞もとってますから一般的な知名度も高いですよね。
イメージとしてはヨーロッパの歴史物がお得意。
今まで何故か、手に取ってみた事が無かったんですけど
なんとな〜くパラパラとページを繰ってみたら、面白そうと云う事で読んでみました。

どうやら手に取ってみて正解だったようです。また、良い作家を見つけました。
これで読書の楽しみがまた増えた。

読書家ならばアレクサンドル・デュマ父子を知らない人は居ないでしょう。
でも、正直デュマのじい様の事までは考えなかった。
要するに、「三銃士」や「モンテ・クリスト伯」で有名なデュマ・ベール(大デュマ)の父にして
「椿姫」のデュマ・フィス(小デュマ)の祖父である、
トマ=アレクサンドル・デュマが主人公。

農場主であるラ・パイユトリ侯爵と農場の奴隷であるマリー・デュマの間に生まれたトマ。
母親の姓であるデュマは「ドゥ・マス(農場の)」と云う言葉が語源。
当然生まれたトマは単なる奴隷であったはずなんですが・・。
農場を売り払いフランス本国に帰国した父親の気まぐれから
生地であるサン・ドマング(現在のハイチ)を離れフランスへ。
貴族の子弟として教育を受け、社交界でも知られた顔に。
しかし、父親との諍いから父の姓を捨てて再びデュマを名乗り
フランス陸軍に一兵卒として入隊。
革命期のフランスで、その恵まれた体躯と向上心で
遂にはナポレオンと張り合うまでに出世するのですが・・・。

フランス史に詳しくない私としては、どこまでが史実で
どこからが小説的脚色なのかは解りませんが、大筋では実話な訳です。
正直、ビックリ。そんな時代だったんだぁ、というか
そんな剛毅な人物が居たんだぁというのが第一印象。
大変面白かったですね〜、他の作品も読破せねば。

ただ、小説的な技法なんでしょうけど、肝心なシーンを敢えてカットするのは
あまり一作品の中で多用されると、ちょっと肩透かしになるかなと。
文体が独特――と云うほどでもないですけど、地の文の中に独白が入って来るのは
最初は戸惑いましたね。馴れると全く気になりませんけど。
とはいえ、これは読む価値のある一冊。
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