カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

赤瀬川原平「東京ミキサー計画」

副題に「ハイレッド・センターの直接行動の記録」とありまして
赤瀬川原平さんの所属していた「ハイレッド・センター」という超前衛芸術家たちの
60年代前半を舞台にした活動記録です。
赤瀬川原平さんと云えば世間的には「新解さんの謎」とか「老人力」なんかの穏やかそうな風貌の
オジさんと認識されていると思うんですけど。若い時には結構過激な方でした。
僕は原平さんは「トマソン」関連から入ったんですけどね。

それで、これがむやみと面白いんですよ。ちょっと本棚の山の中に埋もれて見付けられないんだけども
同じちくま文庫の「反芸術アンパン」と併せて読むと、面白さ倍増。
結構読み返している本ですね。

ハイレッド・センターとは三人の若き前衛芸術家が結成したグループ。
高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之の三人の名前から、一文字づつを英語に直して「ハイレッド・センター」

そんな三人が、例えば
「シェルタープラン」
帝国ホテルの一室で身長体重をはじめ、頭の幅・肩幅・風呂に全身を沈めて量った全身の体積・
含水量(口の中に水を含むことが可能な最大容積)などを測定し
正面・後ろ・右側から・左側から・頭上から・足の裏側からの六方向から等身大の写真を撮影。
そんな事をして何をしたいのかと云うと、個人専用のオーダーメイドの核シェルターを造ると。
ちなみに、お客さんとして測定されたのはオノ・ヨーコ・横尾忠則、ナムジュン・パイク、風倉匠
などなど、解る人には解る、錚々たるメンツ。
しかし含水量ってなんやねん。
「大パノラマ展」
展覧会の初日に「クロージング」として画廊を閉鎖。釘や板きれを使ってドアや窓を閉鎖し
「閉鎖」の貼り紙で封印。
最終日に「オープニング」として画廊を開放。ちなみに閉鎖していた最初の釘はジャスパー・ジョーンズが抜きました。
その後オープニングパーティー。来場者にはジャスパー・ジョーンズ、瀧口修造などなど。
「首都圏清掃整理促進運動」
白衣・白マスク・白手袋に身を固め、赤字に白く「!」と染めた腕章をつけ
銀座並木通りをひたすら清掃。
「掃除中 BE CLEAN!」と立て看板を出しておくだけで警察官も含めて、通行人も不審に思わないもんなんだな。
道路に雑巾掛けをし、街路樹を磨いて立ち小便対策にトイレ用防臭剤をつるす。
それでもお咎めなし。フフッ。

圧巻は「千円札裁判事件」ですね。これは赤瀬川原平の作品「私製千円札」がニセ札であると当局に認定されてしまった訳です。
と云う事は、赤瀬川は贋札犯だと。
「イヤイヤこれはですね、“芸術作品”であって決して贋札なんかではないんです」
裁判所の中で、何が芸術で何が芸術ではないのかと真面目に論議する訳ですよ。
そのためには“芸術作品”の実例を証拠品として提出しなければならないと。
しかも、“前衛芸術作品”としてハイレッド・センターの作品を並べてみせる事に。
その作品たちが、これまた・・・・。

これは、裁判自体が前衛芸術化した、世界でも稀にみる作品な訳です。
未読の方は是非。
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