カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

ギルバート・アデア著「作者の死」

バルトではなくてアデアの「作者の死」です。

何と云ったら善いんでしょうか。
巻末の解説(若島正氏)をよると、実際にあったポール・ド・マン事件をモデルとしている。
私は浅学にしてポール・ド・マン事件を知らなかったですけど。
同様の問題としてはハイデカーとかギュンター・グラスの件が思い浮かびます。
アメリカ評論界の寵児となった主人公スファックスは大戦中にフランスである活動をします。
アメリカに移民してからも、過去を隠して(と云うほど積極的に隠蔽していたわけではないが)
来たものの、著作を発表して有名になるにつれてフランス時代の過去が・・・。
そして、伝記を執筆したいという女子学生が現れて・・・。

着想は面白いです。若干の実験的手法はわたしには効果的とは思えないものの、
前半は割りと良いんですけど、後半が・・・。どうなんでしょう?
フーダニットなミステリーとしても読めるように書いてある訳ですが、
その面では(作者がミステリー的な読み方をどれだけ期待していたのかは判りませんが)
あまり成功しているとは思えない。
“ザ・セオリー”という文学理論の面でも(パロディーとかパスティーシュの類なんでしょうけど)
さほど、感銘は受けませんでしたね。
若島氏の解説で、筒井康隆の「文学部唯野教授」のイギリス版との言葉が出てきますけど
「文学部唯野教授」の方が小説としての面白さも、文学論としての興しろさも
はるかに上ですね。
もっと分量を増やして、衒学的に読めるようにするべきだったのでは?
どっちつかずに成っているのが作者の狙いなのかもしれませんけど・・。
そこが、私は読んでいて残念に感じたというかもどかしかったですね。
もっと面白く出来たろうにと思ってしまうんですよ。
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