カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

宮部みゆき「チヨ子」

1999年から2010年にかけて発表された短編を集めた宮部みゆきの短編集「チヨ子」
コレがですね~、粒ぞろいと云って良い内容でした。

収録作は五編。
「雪娘」
前田ゆかりが帰宅すると留守番電話に古い友人からのメッセージが吹き込まれていた。
通っていた小学校が廃校になるので、久しぶりに仲良しだった友人四人で飲もうとの誘いだった。
“四人”
ゆかりたち仲良しグループは男子二人、女子三人の五人だった。
小学六年生の冬に雪子が殺されるまでは。
二十年前のあの日、雪子の亡骸は前日の大雪で出来た吹き溜まりの下から発見された。
久しぶりに再会したメンバーが見たモノとは?ゆかりには見えなかったモノとは?
意外な犯人が・・・あ、いや何でもないです。

「オモチャ」
“商店街の角の玩具屋さんの二階の窓に、真夜中になると、首吊りのロープがさがっているのが見える”
寂れた商店街の一画にあるこれまた寂れた玩具店。
店主の老夫婦のおばあさんが亡くなると、こんな根も葉もない噂が流れた。
残されたおじいさんも、しばらくして亡くなってしまうが
そこにクミコが見たモノは・・・。
コレは視点が好いですね。子どもの視点から描かれているのでやや救いがある話になっている。

「チヨ子」
大学生の「わたし」はバイト代につられて古びたうさぎの着ぐるみを着る羽目に。
ところが着ぐるみを着て周囲の人をみると、他の人々がぬいぐるみやロボットに見えて・・・・。
杉浦日向子の「百物語」に「狼の眉毛の話」って云うのがあります。
私の大変好きな話でして、浅学の身ゆえ元ネタがあるのかどうか私には判らないんだけど、大変好い話し。
「チヨ子」は「狼の眉毛の話」の現代版ですね。ちょっと甘すぎる気がするけど。

「いしまくら」
出版社に勤める石崎は、中学生の娘に近所で話題になっている幽霊の噂について相談される。
幽霊は殺人事件の被害者である女子高校生だと噂されているが、
被害者を中傷する無責任な噂について出処を確かめ、自由研究のレポートにしたいと云うのだ。
しかもボーイフレンド(!)と一緒に。
ショックな石崎(娘を持つ父親は大変だぜ)だったが、話しは思わぬ方向へ。
意外な落ちが付いて面白かったんですが、石崎と出版社の先輩である沢野女史の会話がなかなか興味深かった。

「聖痕」
語り手は子ども関係の事件を専門とする調査員の女性。
彼女のもとに、寺嶋という中年男性がやってくる。
寺嶋の息子は十二年前に殺人を犯し、少年Aとして服役していたのだ。
服役を終えた少年は寺嶋と新たな父子関係を築き社会復帰していたのだが、
ネットで少年を救世主メシアとして祭り上げるグループがいることに気が付き懊悩しているというのだ。
この話はダークファンタジーに行きたいのか、ミステリーに行きたいのかハッキリしないうちに
終わっちゃうん(短編だからね)ですが、ぜひ長編として書いて欲しいと思う。
と云うか短編で終わらせるのは、ちょっとずるいでしょう。
でも宮部みゆきのファンタジーって後半が尻つぼみなことが多いからなぁ。

色々と飽きさせない取り合わせになっていますねぇ。
サクッと一日で読めちゃうところが勿体ない。
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