カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

バロネス・オルツィ「隅の老人の事件簿」

いわゆるシャーロック・ホームズのライバル達の一人。

シャーロック・ホームズと同じ時代のロンドンが舞台。
登場人物は、聞き手であるイヴニング・オブザーヴァー紙の女性記者ポリー・バートンと
名前も職業も住所も不明な話し手の“隅の老人”の2人。
エイアレイテッド・ブレッド・カンパニー(無酵母パン製造会社)のノーフォーク街支店
通称ABCショップの店内で、いつもポリーが座るテーブルの向かい側に座る老人。
隅っこの席に座るので“隅の老人”と云う訳ですね。
最初はウザいと思ったポリーだったが、この老人の話につい引き込まれてしまう。
なぜなら、世間を騒がす事件の真相をこの老人が見事な推理で導き出すからだ。
とはいえ、あくまでも彼女に話して聞かせるだけで、特に警察に協力するとか
被害者を救うだとか、事件を解決する気は当人には無いようだ。
あくまでも隅の老人にとっては退屈しのぎの推理パズルにすぎないようだ。
話を聞いている限りだと、検死審問に出掛けて最前列を確保したりして、
意外と熱心かつ時間には余裕があるみたい。でも何者なのかサッパリ解らない。
話をしながら手にした紐をいじくり回し、複雑な結び目をこしらえる癖があり、
ミルクを飲みながらチーズケーキを食べ、興奮してくるとキーキー声で話す。
何とも変ったこの老人がどんな難事件にも独自の解決を見出す様は、読んでいて見事だ。
ただし、あくまでもポリーとの会話の中だけの解決で、それが裁判や警察の捜査で立証される事は無い。
だからもしかしたら、真相とは程遠い、机上の空論なのかもしれない。

極めて特異な探偵です。何しろ本人何者なのかが一番の謎(笑)

今回読んだのは創元推理文庫で深町真理子訳の傑作選なんですが、
本書の最後の一編が、どんでん返しと云うか、隅の老人自身に新たな謎を付加して終わる所が心憎い。
古臭さを感じさせず、面白かったです。
関連記事
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する