カートの本と音楽の(PUNKな)日々2

笠井潔「吸血鬼と精神分析」

舞台はパリ。
モガール警視とバルベス警部が駆け付けた殺人現場は、まるで要塞のように堅固なドアに守られたアパルトマン。
背中に2発の銃弾を打ちこまれた死体の指先には「DRAC」とのダイイングメッセージが。
しかし、捜査は開始直後に国防省所属の国家憲兵隊に取り上げられてしまう。
被害者はルーマニアからの亡命軍人で、
どうやら見せしめの為にチャウシェスク政権に雇われた暗殺者の仕業の様だ。
なるほど時代設定はチャウシェスク政権の頃なのか。
さて、新たな事件が起こる。マスコミが付けた名はヴァンピール事件。
若い女性が毎週末に脱血死させられたうえ、死体を遺棄される事件が続発。
担当したモガールとバルベスは、得意な殺害方法にも、被害者達に関連性が無い事にも頭を悩ませるが・・・。
「失血死」ではなくて「脱血死」がポイント。

モガール警視の愛娘ナディアは、ミノタウロス島連続殺人事件で受けたショックから抜け出せないでいた。
友人の勧めで、気がすすまぬまま精神分析医のもとを訪れることに・・。
さて、どう話が結びついて行くのか。

蛇足的に補足すると「DRAC」はドラク=ドラゴンで、ヴァンピール=吸血鬼ですね。
有名な吸血鬼ドラキュラはルーマニアの実在した人物、ヴラド・ルェペシが
ドラキュラ=ドラクの子=ドラゴンの息子と呼ばれたことからブラム・ストーカーが頂いてきた訳ですね。
ところで、ドラゴンを竜と訳すのはいい加減にやめたらいいと思うんだけどなぁ。
竜とドラゴンてその属性は真逆でしょ。

ナディアと、ナディアの友人である矢吹駆が探偵役のシリーズものだったんですね・・・。
またしてもシリーズものの途中から手に取っちゃったか。ま、単体で読んでも全然問題なかった。
なかなか衒学趣味に満ち溢れていて私好み。一作目から順に読んでみようと思う。
たびたび「ミノタウロス島連続殺人事件」について言及されるので興味が出てきた。
ミノタウロス島連続殺人事件は、前作「オイディプス症候群」で描かれているようだが、まあ一作目からだな。

名前は変えてあるもののラカンと思しき人物がキーパーソンとして登場。ラカンなんか読んだ事ないけどさ(笑)
駆と各登場人物たちの会話がウザいぐらいに衒学趣味的で、精神分析や神学について滔々と語る駆は
普段はまともな会話もしない人物のようで、キャラがウスイんだけど、突然能弁になるのでなんか微笑ましい。
衒学趣味な探偵と云えば、やはり京極堂を思い浮かべてしまうが、
京極堂のキャラの濃さ、話の巧みさは矢吹駆には全くない。正直キャラとして魅力はあまり無い。
事件の解決も、思わぬ犯人(自分は全然違う人物を犯人だと思ってた。後半で殺されちゃう人物)で、感心したけど
駆による謎の解明には些か納得がいかなかったかなぁ。

ちなみに神学論争にも個人的には納得がいかない・・・と云うか、よくある論法だよね。
あの論法は、私は合理主義的思考の妄信のような気がするので、無効とは云わないまでも有効とは思わない。
まあ、その話はなが~くなるので割愛。
とりあえず自分は、孔子の「怪力乱神を語らず」の立場でいるとしようかな。孔子嫌いなんだけど(笑)


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